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会社法改正が証券化ビジネスに与える影響
〜有限会社廃止後、SPCとしての適格性を有する企業体は何か〜

NETdeBIZ.com 2005/8/17

会社法が改正になり、来春から会社制度が大きく変わります。そこで、資産の証券化スキームにおいてSPC(特別目的会社、Special Purpose Company)として用いられて来た会社形態に関しても大きな変更が余儀なくされています。特にSPCとして多用されてきた有限会社が廃止されることで、それに代わり今後SPCとして用いられる企業体として何が最もふさわしいかが問題となってきます。
 そこでまず、これまでSPCとして用いられて来た企業形態について概観したいと思いますが、前提としてSPC(必ずしも会社に限らず、パートナーシップ、組合や信託が用いられることもありますので、それらも含めるとSPV=Special Purpose Vehicleと呼ばれます)に求められる役割はなにかを見てみることにします。


◆ SPC(SPV)の役割
(1) 倒産隔離(証券化の仕組みに対するオリジネーター(資産の調達主体)の倒産の影響を遮断すること)
(2) オフバランス(貸借対照表に計上された資産や負債が貸借対照表から取り除かれること)
(3) 連結の回避(オリジネーターとの間での非連結)
(4) 課税上の不利益の回避(「箱」の段階と投資家との段階での二重課税を避ける)

◆ SPC(SPV)の要素
 上記の役割を果たすためにSPC自体(上記の役割はSPC単体で達成できるものではありません)に求められる要素としては次のようなものがあります。
(1) 法主体性(資産の取得、証券の発行)
(2) 有限責任性
(3) 導管体性(「箱」自体に課税されないこと)
(4) さらに、SPCは証券化という目的を実現するための「箱」に過ぎませんから、設立・運営コストが低廉であること(機関・開示が簡易)も求められます

◆ SPCとして採用されてきた法人
 これらの要素を満たす内国法人として、これまでSPCに採用されてきたのは株式会社、有限会社と、資産流動化法に基く「特定目的会社」の3つでした。
 「特定目的会社」は導管体性(二重課税の回避)や不動産移転・保有に関する税の軽減、機関の簡素化等の特典が与えられている反面、投資家保護の観点からの手続き的規制が重かったため利用が進みませんでしたが、平成12年の改正でかなり規制が緩和され、利用が増えてきたとみられています。
 それにも関わらず、いまだに株式会社・有限会社を利用することが多いようです。
 それは、「特定目的会社」に認められている特典が、これらの会社を利用したスキームでも実現可能だからです。たとえば、導管体性に関しては、匿名組合を利用することで二重課税が回避されますし、不動産の移転・保有に関する税の軽減に関しても、信託を利用することで実現されています。
 そこで株式会社を証券発行会社として、有限会社を資産保有会社として使用するという使い方がされて来ました。有限会社は社債を発行することは出来ませんが、設立・運営コストが低廉(最低資本金が低い、機関設計が簡易、決算公告不要等)で済むからです。
 では、会社法の改正により、どのような影響が出てくるでしょうか。次回、「会社法の改正とその影響」について考察してまいります。

 商法改正により有限会社制度は廃止されますが、既存の有限会社は、有限会社制度の廃止後も「特例有限会社」として、存続することが認められます。

◆ 会社法改正の内容
 企業の実体(大半の中小企業)に合わせ、有限会社制度が廃止され、株式会社の機関設計が柔軟なバラエティーに富んだものとなり、最低資本金の規制もなくなります。
 また、新しい会社形態として合同会社(LLC)が創設されました。

◆ 会社法改正の影響
株式会社の利用
 最低資本金規制が撤廃され、株式会社にも簡易な機関設計が認められるようになったという点からすると、来春以降は新たに有限会社を設立できなくなくなったとしても、例えば取締役1名のみの株式会社がSPCとして用いられることも考えられますが、負債200億円超で「大会社」となる事は変わらず、大会社となった場合には機関設計は大きく規制されます(譲渡制限会社の場合は監査役及び会計監査人を設置する必要が生じ、公開会社の場合は取締役会、監査役会(又は三委員会)、及び会計監査人を設置する必要が生じる)。
 また、決算広告も必要です。これらの手間と費用により、従来の有限会社より使い勝手は格段に劣ります。
 さらに会社更生法の適用があり、会社自身の導管性もありませんので、SPCとしての利用が増加することは考えにくいといえます。

 そこで合同会社(LLC)の利用が考えられます。

 LLCは、先に述べた、SPCに求められる要素である法主体性、社債発行主体性、有限責任性、設立・運営コストの低廉性(機関設計が簡易=総会・取締役・監査役不要、一人会社可能、決算広告不要等)に加え、柔軟な損益分配可能であるというメリットも兼ね備えます。
 従いまして、LLCはこれまでの有限会社よりもいっそう使い勝手の良い会社形態として多く利用されることが見込まれます。
 但し、構成員課税の点については現在のところ認められない可能性が高いので、匿名組合を用いて導管性を確保するスキームが用いられると思われます(匿名組合の営業者の利益配当の損金参入を認める法人税基本通達14-1-3はLLCが営業者である場合も適用されると解されます)。

 最後に、今月から施行されました有限責任事業組合(LLP)について検討してみたいと思います。

LLPのメリット
(1) 法人の設立が不要
(2) 有限責任性(組合員=出資者は出資額の範囲でしか責任を負わない)
(3) 内部組織の柔軟性=機関(総会、取締役、監査役)設置不要
(4) 損益・権限配分の柔軟性
(5) 導管体性(構成員課税による二重課税の回避)

LLPのデメリット
(1) 社債発行不可能
(2) 法人格がない=財産は組合員の共有
(3) 業務執行組合員の倒産による影響を排除できない
(4) 組合の常務は各組合員が単独で行うことが可能→組合員の行為の影響の排除困難
(5) 業務執行への全員参加(共同事業性)。組合契約によっても全てについての排除は出来ない。出資だけで業務執行に全く関与しないということはできない

 以上から、信用性の高い法人等が業務執行組合員となること、投資家の数が比較的少数であること、などの要件を満たす投資スキームの場合に利用が限られるのではないかとの観測がされています。

(NETdeBIZ.com 2005/8/17掲載)

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