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経営者のための成年後見制度利用のすすめ(対応編)

NETdeBIZ.com 2004/5/26


2. 対応

この場合考えられる対策としては、どちらのケースでも、裁判所から「後見人」を選任してもらい、後見人が契約をするという方法が考えられます。

しかし、実際は手続きに時間がかかるなどの理由からこのような正式な手続きを踏まずに取引が行われる場合もあるようです。関係者が処分を急ぐあまり、本人の意思とは無関係のところで資産の処分が行われてしまうという事も考えられないことではありません。それでも不動産の場合は司法書士が関与するケースが大半ですから司法書士によるチェック(意思の確認)を受けますが、痴呆の場合能力が低下していても会話はしっかり出来るという方も多く、家族に書かれたシナリオどおりに答えられた場合必ずしも適切な判断が出来ないという危険性があることは否定できないのです。

そこで、このようなケースをあらかじめ想定して、自分がボケたあとでも会社や資産を守り、適切な承継をして行けるようにするために、任意後見の制度を活用することをお勧めしたいのです。

3. 任意後見制度とは

平たく言えば自分の信頼できる方を選んで、あらかじめ自分が痴呆等判断力が低下した後の会社や資産の管理を任せるという制度です。

AさんやBさんの場合は、そのような準備をしていなかったため、自分が痴呆により判断能力がなくなった後は家族によって資産を処分されることになりました。しかしこの処分が必ずしも自分の意に適ったものなのかどうか、判断能力の低下が進行してしまった今となっては誰にもわかりません。また仮にそれが自分の意に沿ったものだとしても、Bさんの場合弟が反対しておりますし、Aさんの場合も結婚して家を出た長女がおり、今回の不動産売却に関しては知らされておらず、当然自分に相続権のある不動産の売却に関しては異を唱える(または何らかの要求をしてくる)事が予想されました。裁判所による後見人の選任(法定後見)の際も場合によってはこの弟や長女からも裁判所はヒアリングをし、紛争の生じる事のないようにすることが考えられます(事前に兄弟間で話し合いが行われ、経済的解決をはかる必要も生じてくると思われます)。

家業に尽くしてくれた(たとえ不本意な業績でも)長男に不動産の権利を承継させる(Aさん)、自分の看護をしてくれている兄弟に経済的負担をかけさせないために不動産を処分する(Bさん)ためには、自分の死後の事であれば遺言により相続させる(および遺留分放棄)という方法がありますが、生存中、判断能力低下後に処分の必要性が生じた場合に関しては判断能力のしっかりしているうちに任意後見人を選任しておいて、自分の意志に沿った内容の処分をさせる(実際には任意代理と任意後見の組み合わせが望ましい)というのが最善の方法といって良いでしょう。

4. 次に任意後見制度の手続きについて簡単にご説明しておきます。

(1)契約

後見人として自分の財産の管理を任せられる人を決め、公証役場で任意後見に関する契約を公正証書で行います。契約の内容としては、財産管理や介護・医療に関することなどをどのように行って欲しいかを盛り込むことが出来ます。

(2)後見開始

いざ、判断能力の低下が始まりますと、家庭裁判所に申し立てて「後見監督人」を選任してもらい、後見がスタートします。後見人は契約にしたがって財産の管理・処分や介護・医療に関する手続きを行います。後見監督人は後見人の事務を監督して家庭裁判所に定期的に報告をします。家庭裁判所の監督のもとに適切な(本人の意思を尊重し、実情に沿った)財産管理がなされることになるわけです。

以上、簡単にご説明致しましたが、詳細につきましては「社団法人成年後見センターリーガルサポート」 のサイトにアクセスして下さい。

(NETdeBIZ.com 2004/5/26掲載)

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