相続人不存在

死亡した人に相続人がいなかったり、いるかどうか不明な場合は・・・

財産を残して人が死亡した時に、相続人がいない場合や、いるかどうか不明な場合、言い換えれば相続人がいる事が明らかである時以外(戸籍を調べても相続人がいない時や、相続人が全員相続放棄をしている場合、相続人となるべき者が相続欠格事由に該当していたり、相続人の廃除をされている場合などを含みます)の場合に、死亡した被相続人の債権者に弁済をするためや、被相続人と特別の縁故のあった人への財産分与のために、債権者、受遺者、特別縁故者などの利害関係人の申立により、相続人を確定(あるいは不存在である事を確定)させるため家庭裁判所の特別の手続きがとられます。

具体的な手続き

(1)下記の3回の公告等の手続きがなされます。
手続きの流れ

1.相続財産管理人の選任及び公告

利害関係人又は検察官が家庭裁判所に相続財産の管理人の選任を請求し、家庭裁判所は遅滞なく相続財産管理人を選任の上、官報により公告(期間は2ヶ月)します。
この公告期間内に相続人が明らかになれば財産は相続人に引き渡され、管理人としての役割は終了します(民法955条)。

2.債権申出の公告

1.の2ヶ月の公告期間内に相続人が現れなかった時は、相続財産管理人は遅滞なくすべての相続債権者及び受遺者に対して、2ヶ月以上の期間を定めて請求の申出をなすべき旨を公告します。 これは、遺産の清算の開始を意味します。
従って申出をなした債権者等は、財産管理人からその弁済を受けることになります。

3.相続人捜索の公告

2.の期間終了後も相続人が現れなかった時は、家庭裁判所は相続財産管理人又は検察官の請求により、相続人があるならば一定期間内(6ヶ月以上)にその権利を主張をすべき旨の公告を出します。
尚、この公告と併行して、相続財産管理人は申出のあった債権者や受遺者への弁済等を優先させ、相続財産の中から債務の弁済等をします。
(2)これらの公告等と併行して相続財産の清算が行われ、相続人捜索の公告期間中に相続人が現れなかった時には相続人が不存在である事が確定します。
(3)その後に残余の相続財産があれば請求の申立のあった特別縁故者に財産分与の審判がなされる事になります。(民法958条の3)この場合に注意が必要なのは、あくまでも請求の申立をしない限り特別縁故者への財産分与はなされないという事と、この請求は3ヶ月以内にしなければならない事です。
従って、特別縁故者とされる、被相続人と生計を同じくしていた人や被相続人の療養看護に努めた人、その他被相続人と特別の縁故があった人などは相続人捜索の公告の期間満了後3ヶ月以内に請求の申立の手続きをとる必要があることを覚えておいて下さい。
ちなみに、生計を同じくしていた者とは、内縁の夫や妻、事実上の養子、同居人の継子、子の配偶者などで、療養看護に努めた者とは生計を同じくしてはいないが、被相続人の療養看護をした者を指します。
またこれらの手続きをなし、特別縁故者への財産分与後も共有物以外の残余財産があった場合には国庫に帰属することになります(民法959条)。


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